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アキュベリノス技術講座 シーズン1 現場は様々な部品形状との格闘
アキュベリノス技術講座
シーズン1 プリント配線板について(初級編)

現場は様々な部品形状との格闘


今号のポイント
一般的な自動部品実装作業フロー
アートワーク設計、実装現場ではどんなことに注意しているのか?


1:一般的な自動部品実装作業フロー

 図11-1に一般的な自動部品実装の作業フローを示します。これはリード型もチップ型もすべて部品面に搭載する場合になります。マシンでは搭載できない異型部品は手挿入を行ってからディップマシンに流す場合もありますが、狭ピッチリード型コネクタなどディップマシンに流すとはんだショートする部品は、ディップ後に手実装(手はんだ)してから検査に持ち込みます。
 また、チップ型部品が基板裏面にも搭載される場合は、図11-1のチップマウンタで一旦、部品面側を搭載しリフロー炉を通した後に、ひっくり返して基板裏面側を接着剤塗布して部品を固定してから図11-1のインサートマシンを経て、ディップマシンで裏面全体をはんだ付けします。つまり、部品搭載面や搭載されている部品形状によって、作業フローは変わります。
 メタルマスクは、アートワーク設計者から出力されたガーバーデータを使って作製されます。単なるステンレス板にパッド部分が抜けている(開口)だけですが、開口の大きさや板の厚み指定によってはんだ量を調整する場合もあります。また、基板外形サイズによっては表版と裏版を1枚で仕上げて、版代を抑えることもありますので、実装工場と相談して下さい。




2:部品の搭載面や搭載部品のパッケージ形状によって考慮する事項

1)パッドサイズの違い

 前述のように、一般的に部品面はリフローを、基板裏面ではフローにてはんだ付けされることが多いです。しかし、はんだの付き方が大きく違います。静かにはんだが溶けてなじんでいくリフロー法に対して、フロー法は溶けたはんだが瞬間的に通り付着しますので、リフローに比べてパッドサイズを大きくしてやる必要があります。
 従って、アートワーク設計のライブラリ登録工程の時には、すでにどのようなはんだ付け方法を行うかが決まっている必要があることを知っておいて下さい。パターンの引き回しも違ってきます。





2)部品搭載方向の制限

 フロー法によるはんだ付けの場合は、前述のように、溶けたはんだが瞬間的にランドやパッドを通過するのですが、はんだには粘性があるため、狭いところには入り込み難く、一度付いたパッドやランドからの切れも悪いです。
 そのため、どうしてもはんだ面にチップ部品を実装しなければならない場合は、図11-3のようにディップ方向(はんだの流れ)に対して平行に、チップ部品が縦一列に接近して配置すると、きれいなフィレットが形成できにくくなったり、狭ピッチコネクタに至っては、はんだの尾が引いて隣接ピンとのショートを起こしてしまったりするので、アートワーク設計の部品配置の段階から意識して配置する必要があります。





3)フィレットとはんだ流れ

 フィレットとは、はんだ付けされた際の部品電極部と基板上のパッド間で形成されるはんだによる傾斜(富士山の裾野のようなカーブ)のことで、良いはんだ付けは、そのカーブも美しいものです。溶けたはんだには適度な粘性があるために起こる現象で、リフローでもフローでも手はんだでも形成されます。
 また、フロー法でリード型のコネクタを実装するときは、はんだの流れに垂直に配置して、ランド部にティアドロップ形状を形成させておく方が良いです。





4)部品間隔

 インサートマシンはチャックと呼ばれるロボットハンドで部品を掴んで指定座標で挿入するために、先行実装部品が近すぎると接触を起こしてしまうので、指定の間隔を保って配置する必要があります。
 具体的な距離はマシンによって異なりますので、アートワーク設計時には実装工場の基準書を入手しておく必要があります。




5)クリンチとその逃げ

 量産基板の場合は、リード型部品を挿入した際に、基板をひっくり返しても抜けないように、クリンチと呼ばれる「リード曲げ」を行います。この場合、曲げたリード同士が当たらない方向と距離を考えた部品配置が必要です。また、曲げたリードの先端とパターンが接触しないように、配線を行うこともアートワーク設計に要求されます。





6)部品直下の穴には注意

 フロー法によるはんだ付けを行う場合は、部品直下の穴(キリ穴や角穴、VIAなど)を避けて設計することが肝心です。穴から溶けたはんだが噴出し、部品の下部を痛めてしまう可能性があるからです。
 アートワーク設計後の検図時には、こういう点もチェックをして下さい。





7)認識マーク

 チップマウンタはプリント基板との部品の位置や傾きを正確に補正しなければなりません。そこで必要なのが、この認識マークです。最低限、部品や基板の斜め対角の2カ所にこのマークがあれば補正が可能になります。
 2ピンや3ピンのチップ部品には個別には必要ありませんが、多ピンや狭ピッチで精度の必要なQFPやSOPには個別に設けます。はんだ面にも該当部品が搭載してあれば、はんだ面に認識マークが必要になります。





 今回はここまでとします。次回は第12回(第12章)「はんだ付けは熟練工の腕次第」を予定しています。
 初級編の最終となります。

第11回(第11章)現場は様々な部品形状との格闘 終わり
ご意見、ご質問: tetsuzan@accverinos.co.jp

(本書は、株式会社アキュベリノスの著作物です。許可なく掲載、転載等を行うことを禁止します。)


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| 開発こぼれ話 | 05:11 PM | comments (x) | trackback (x) |
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